知識の呪縛:本当に新人が使えないのか?会社の仕組みの問題ではないのか?

使えない新人を押し付けられると自分の仕事も出来なくなりますから厄介なものです。

特に昨今は空前の売り手市場ですから本来なら入社できないはずのレベルの人間まで採用してしまっていることもあります。

しかし本当にその新人が使えないのかそれとも組織の育成の仕組みに問題があるのか確認したほうが良いです。

同じ新人でも所属する組織によって発揮できる力には大きな差が生じます。

知識の呪縛とは

私たちは自分の知っていることは相手も知っているだろうと思い込んでいることがあります。
これを心理学では「知識の呪縛」と言います。

普段社内で当然のように使っている言葉を他の業種の人との会話で出したら理解されず、そのことを不思議に思うのはこのためです。

前回「透明性の錯覚」の記事の中で他人が指で机を叩いて奏でる音楽の曲名を当てられる人は少ないという実験を紹介しました。
この実験も「知識の呪縛」の説明に引用することができます。
自分の頭の中で鳴っている音楽が相手にも聞こえているだろうと錯覚しているのです。

誰でも新人の頃は分からないことだらけだったということは忘れがちです。
そのため新人が理解に時間がかかったりするとイライラしたり、使えないと評価してしまうのです。

あなたは新人に専門的なことを説明するために専門用語を使っていたりしないでしょうか?

有能な人間でも緊張したら力を発揮できなくなる

新人教育の盲点ともいえることがあります。

それは「緊張」です。

新人の動きは皆が注目するものです。
仮にそうでなかったとしても新人は皆から見られていると感じやすいため緊張しがちです。

緊張のしやすさには個人差がありますがこれは仕事の有能さとは関係ありません。
どんなに能力の高い人でも入社したばかりの会社ではガチガチになってしまうことがあります。

緊張は視野を狭めて想像力を奪います。記憶力も落ちることがあります。
なぜなら「闘争か逃走の反応」が起こっているからです。

生存の危機と感じて脳が勝手に闘うか逃げるかということに集中しようとするのです。
命に関わらない仕事に関してはリソースを割かないのです。

適度な緊張はパフォーマンスを高めることがあります。
しかしそれは本人がそのことを知識として知っている場合です。

入社したばかりの新人にそういった効果は期待できないでしょう。

緊張することによって普段ならできるようなことさえ出来なくなってしまうものなのです。

新人は超満員のステージの上で仕事をさせられているのだと思って見てあげましょう。

新人が教えてくれること

使えない新人には社内マニュアルを読んでもらいましょう。
理解してもらうためではありません。分かり難い箇所を教えてもらうためです。

私も複数の会社のマニュアルを読んだことがありますが理解しにくい箇所の1つや2つは必ずあるものです。

初めて読んだときには分かり難いと思っていても仕事に慣れるうちに気にしなくなってしまう社員がほとんどです。

社内マニュアルであれば放置していても問題はないかもしれません。

しかし顧客用のパンフレットや説明資料でも同じことが起こっていたら大変です。
勘違いされている可能性がありますし、潜在顧客を失っているかもしれません。

自社ウェブサイトのインターフェイスも確認してもらうべきです。
いつも使っていれば操作に迷うことはありませんが初見の人にとっては分かり難いという可能性もあります。

顧客にはITスキルの高い人も低い人もいます。
仮に自社の新人が使えない人間であれば好都合です。
誰でも使いやすいデザインに変更するチャンスなのです。

インターフェイスはコンバージョン率に大きな影響を与えます。
ボタンの大きさや色を変えるだけでも売上が変わるのです。

使えない新人に能力を発揮させるために

使えない新人を伸ばすために大切なことは「分からないです」と言いやすい空気をつくることです。
「そんなことも分からないの?」などと言ってしまうと萎縮して意見を言えなくなります。

新人の成長には自分が会社の役に立てたという感覚を持たせることが重要です。

最初で躓くとそのまま「自分は出来ない人間」という思い込みを強めてしまうかもしれません。
このような心理を学習性無力感といいます。

縄でつながれた像がそれを引きちぎらないのは力のない子供時代から繋がれていたからです。
自分の力がないという思い込みは発揮できる能力を著しく減少させます。

小さな成功体験を積み重ねさせてあげるかどうかで発揮できるパフォーマンスは大きく変わってくるのです。

新人が使えないと嘆く前に自社の育成の仕組みを見直すべきなのかもしれません。

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