カウンセリング後に落ち込むのは珍しいことではありません。
しかし良いパターンと悪いパターンがあります。
いくつかの要因を説明しますのできちんと見極めて継続するか中止するか考える必要があります。
カウンセラーを変えるという方法もあります。
回復に向かっている可能性もある
心の傷と向き合うのは大変な作業です。
日常的に自分でその辛さと向き合うこともあるでしょう。
だから悩みのレベルは分かっていると思うかもしれません。
しかしカウンセリングではカウンセラーによって更に深く考えるよう誘導されます。
そして問題の深い部分が明確になります。一人で考えているとき以上に核心に近づいているのです。
自分で気づいていなかった新たな問題が発見される場合もあります。
そのためカウンセリング中に癒されていると思っている人でも神経は疲れるのです。
それがカウンセリング後にどっと出てきて落ち込んでしまうのです。
また回復に向かい始めていると考えられるケースもあります。
その途中で悪化して落ち込んだような感覚になるのです。
これはそれまで凍りついていた心が溶け始めているということです。
何も感じられなかった状態から感情が戻ってきたと考えられます。
心の問題を克服する過程においては一時的に最初の頃よりも落ち込んだように感じることがあるのは珍しいことではありません。
陽性転移により特別な感情を抱く
カウンセラーに対して恋人や家族に抱くような特別な感覚を持つことを「転移」と言います。
中でも好意などの肯定的なものは「陽性転移」と呼ばれています。
カウンセリングそのものは辛いと思っていないのにその後で落ち込んでしまうのは陽性転移が起こっているからかもしれません。
恋人や家族と別れた後のような感覚に陥っているのです。
さっきまで一緒に悩みを共有してくれていたのにまたしばらく一人でやらなければならないという寂しさや不安が生じているのです。
カウンセリングが良いと思っているほどにその落差が大きくなるともいえます。
またカウンセラーに自分の憎んでいる人を重ねてしまうことを「陰性転移」と呼びます。
この場合もカウンセリング後の落ち込みにつながることがあります。
カウンセリングの方法が合っていない
悩みや相談者のタイプによってカウンセリングの手法は変わります。
そのため合わない方法で継続していると余計に落ち込んでしまうことがあります。
例えばトラウマの克服のために原因となった出来事と似た体験に曝露させるという方法があります。
これは事件や事故が起こった直後にやってしまうと心の傷を余計に深くしてしまうことがあります。
他にも相談者にひたすら話をさせて自分で気づかせるという手法もあります。
これも全く効果がないのに継続していると不安が募るだけとなります。
また本来であれば精神科や心療内科に行くべき問題なのにカウンセリングだけでどうにかしようとしているケースもあります。
これは非常に危険な状態といえます。
日常に支障が出るほどの体調不良などがあるときはまず病院に行くべきです。
カウンセラーと合わない
カウンセラーとクライエント(相談者)の間の信頼関係のことをラポールと言います。
このラポールが形成されないと安心して相談することはできません。
不安な状態のまま続けているとカウンセリング自体が落ち込む原因となることがあります。
またカウンセラーの中には決め付けたり、否定したりする人もいます。
自分の実力や知識に自信がないので突っ込まれないように予防線を張っているのです。
このようなタイプとは合うだけでも暗い気持ちになります。
カウンセラー自身が病んでいるということもあります。
心が不安定な人同士で悩みを共有しても落ち込むだけとなってしまいます。
相談する側が「こんなこと言わないほうが良いかな?」と気を遣うようならそのカウンセリングは上手くいかないことが多いです。
カウンセラーを変えるのは問題なし
どんなに良いカウンセラーであっても相性というものが存在します。
ですからカウンセリング後の落ち込みの原因が悪い理由によるものと思うならカウンセラーを変えても良いと思います。
言いにくければメールで一方的に伝えても大丈夫です。
それで何か言ってくるようなカウンセラーは問題ありなので関係を切るのが正解です。
また最初に回数券を買わせたり、複数回分をまとめて支払わせるような所は危ないです。
カウンセリングの終了時に「次回はいつにしますか?」と当然のように予約を取らせようとするところも避けましょう。
いつでも止められる安心感というのも良いカウンセリングには大切な要素です。