HSPの中にはイライラしやすく怒りっぽい人もいます。感覚器官が敏感で脳も反応しやすいためです。
他人の言動だけではなく雑音や臭いなどにイライラすることもあります。
HSPと怒りの脳
HSPの人が怒りっぽいのは不思議なことではありません。
私たちが外敵からの攻撃やストレスを受けたときに脳内で最初に反応するのは大脳辺縁系です。本能や情緒を司る部位です。
攻撃を受けたときに大脳辺縁系が「よくもやてくれたなやっつけてやる」と反応します。
大脳辺縁系は原始的な脳と言われ刺激を受けると即座に反応します。

HSPの人の脳のメカニズムはすべて解明されていませんが、普通の人よりも敏感に反応しやすいことは分かっています。
つまりちょっとした刺激に対しても「すぐに対処しなければ」と反応しやすいのでHSPの中にはイライラや怒りを感じやすい人がいてもおかしくないのです。
HSPの感受性と怒りっぽさ
HSPの人がイライラしやすいのは五感の敏感さも関係しているといえます。
感覚器官が敏感な人は怒りを感じやすいのです。
マドリード・コンプルテンセ大学が騒音感受性と怒りっぽさについて234名を対象に行った研究があります。
それによると音に敏感な人ほどイライラして怒りを感じやすいことが分かっています。
騒音に対する感受性が高い人は低い人に比べて音に対して注意を払う傾向が高く、それを脅威と認識し怒りにつながるのです。
この研究では聴覚と怒りの関係を明らかにしているだけですが、他の感覚器官の敏感さと怒りも関連している可能性が高いといえるでしょう。
怒りを感じにくい人はHSPではないのか?
自分はHSPだけれどイライラすることはほとんどないし、怒ることもないという人もいるでしょう。
そういう人は恐怖を感じているのかもしれません。
人は襲われると自分の身を守るために交感神経が優位となり心拍数が上がったり発汗します。
これは闘うにも逃げるにも適した体の状態です。
同じ刺激を受けても怒りを感じて闘うことを選択するか、恐怖を感じて逃走するかは人によって違います。
あまりに大きすぎる脅威の前ではすくんで動けなくなってしまうでしょう。
このような反応を「戦うか逃げるかすくむか反応(Fight or Flight or Freeze Response)」と言います。
HSPの人は自律神経が高ぶりやすいためこの反応が起こりやすいといえます。
そしてどの反応を選択するかはHSPの人でも個人差があるのです。
怒るのは悪いことではない
人がなぜ怒るのかというと生命の危機に対処するためです。
なのでイライラしたり怒ったりするのは悪いことではありません。
大切なことはキレて他人に当たらないようにすることです。
同じストレスを受けても自分の置かれている状況によって怒るときと怒らないときがあります。
遅刻しそうで焦っているときや体調不良のときは通常よりも怒りやすいシチュエーションが揃っているといえます。
自分がどのようなことで怒るのか?どんな状況に置かれると怒りやすいのか?を認識することで感情のコントロールにつなげることができます。
アンガーマネジメントやマンドフルネスの呼吸法などを取り入れることも有効な対策となります。
これらの詳しい方法についても機会があれば記事にしたいと思います。
参考にした論文:Individual differences in anger reaction to noise. Individual Differences Research