「HSPあるある」の嘘と本当をまとめました

「HSPあるある」の嘘と本当をまとめました
 

ツイッターなどで「HSPあるある」がつぶやかれることがあります。しかしこれらの中にはそれをつぶやいた人とそれに賛同する一部の人にしか該当せずHSPの特徴とはいえないものもあります。

またHSPカウンセラーを名乗る人達もHSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士が一般向けに書いた本の内容以上の知識は持ち合わせていない人が多いです。そのため「敏感な人はきっとこうだろう」という安易な考えでHSPの特徴をブログに書いたり、カウンセリングに来た人に伝えてしまうこともあります。

それらの知識には科学的根拠がないどころか間違っているものもあります。そういった情報に騙されないようにするためHSPあるあるの嘘と本当をまとめました。(内容は随時追加していきます)

科学的根拠のある「HSPあるある」

HSPあるあるの中で研究によって証明されている特徴について紹介します。

仕事のストレスを受けやすい

小学校から高校までの教師を対象にした研究ではHSPの傾向が高い人は仕事でストレスを感じやすくそれが燃え尽き症候群につながる可能性もあることが分かりました。歯科医を対象とした研究や看護師を対象とした研究でも同様の結果が出ています。同時に多くの作業をこなさなければならないことや相手への共感の高さがストレスにつながりやすい人が多いです。

共感しやすい

HSPは他人の顔写真を見たとき注意や行動計画に関連する帯状皮質と運動前野の反応が強いことが分かっています。また嬉しい顔や悲しい顔の写真を見たときは感情の統合や共感に関連する帯状皮質、島皮質、下前頭回などがの反応が強くなります。これらの反応はアカの他人より親しい人の写真を見たときにより強くなる傾向があります。つまりHSPは他人の感情に敏感で共感しやすいということです。

深く考える

HSPは物事を深く考える脳のネットワークを持っています。何もせずにリラックスしているときの脳の反応をMRIでスキャンした研究ではHSPは注意制御や記憶の定着だけではなく熟慮型の認知スタイルに関与するネットワークも強いことが分かりました。

内向的な人が多い

性格傾向を測定する質問票を用いたいくつかの研究でHSPは内向的な人の割合が高いという結果が出ています。しかし勘違いしないでほしいのは内向的とは暗いとかコミュニケーション能力が低いということではありません。自分の心と向き合うことを大切にしたり、そうする時間で精神を回復させる傾向があるということです。人見知りということでもありません。

遺伝と環境の両方が関係する

双子の研究によると環境感受性の高さは47%が遺伝で53%が環境の影響という結果があります。同じ遺伝子を持っていてもそれが発現するかどうかは環境の影響を受けます。
(※HSPと遺伝の関係についての研究は少ないのでこの比率は変化する可能性もあります)

笑われることが怖い

笑われることに対して異常な恐怖心を持つことを「笑われ恐怖症(gelotophobia)」といいます。HSPの特徴である感覚処理感受性、内向性、神経症傾向と笑われ恐怖症との間に相関があるという研究結果があります。

ニュースを見て異常に不安になることがある

HSPはメディアからの情報に過敏に反応し不安になることがあります。研究でもテロ関連の画像を見たとき感受性と生理的ストレス反応の高い人ほどリスクを高く認識するという結果があります。

うつ病のリスクが高い

いくつかの研究において感受性の高さと社会不安や抑うつとの間に相関関係にあるというデータが存在します。季節性うつ病の人は感覚処理感受性が高い人の割合が高いという研究結果もあります。

科学的根拠のない「HSPあるある」

HSPあるあるとしてよく言われる中で科学的根拠のないものを紹介します。

仕事のミスが多い

HSPであることが仕事のミスにつながりやすいという科学的根拠はありません。それどころかミスを見つけるのは得意かもしれません。表示された画像の中にターゲットとされる文字があるかないかを早く判断するという課題ではHSPのほうがスコアが高いという研究があります。しかしこの課題が終わった後にストレスを感じやすいのもHSPでした。疲労が蓄積することでミスにつながることはあるかもしれませんが感受性の高さそのものがミスにつながるとはいえません。

霊感がある

HSPに霊感があるというのは嘘です。というより霊感があると主張する人でそれを証明した人は存在しません。心理学の実験でも多くの霊能者がトリックを暴かれています。確かにHSPは不思議な体験の数が多いという研究もありますし、アイソレーション・タンクの中で神秘的な体験をする確率が高いという研究もあります。しかしこれらは霊感ではありません。単に脳がそう反応しているだけです。
またHSPの人は不思議な体験が超常現象だと信じやすい傾向を持っているという研究もありますからスピリチュアルや占いに騙されないように注意してください。

予知能力がある

そもそも予知能力を持つ人など存在しません。確率の問題か当たったときだけ注目されるというバイアスです。
初対面の人を見て直感的に怪しいと思ったら本当に悪い人だったという経験をすることもあるでしょう。しかしこれは無意識に相手の表情や声などの雰囲気を読み取り、過去の体験や学びのデータベースと照合して判断しているだけです。天気予報のやり方と同じようなものですから直感が当たるのは不思議なことではありません。
仮に他人の微妙な表情を察知する能力が高いということであればその分だけ予測が当たる確率がHSPでない人より高い可能性はあるでしょう。

どちらとも言えない「HSPあるある」

研究によって異なる結果が出ているなどのどちらともいえないHSPあるあるです。

音楽に感情を動かされやすい

HSPスケールの項目にも「美術や音楽に深く心を動かされる」という項目があります。しかし研究では明るい音楽を聴いてポジティブになる度合いも暗い音楽を聴いてネガティブになる度合いもHSPとそうでない人の差はないという結果になっています。もちろん今後、同様の研究で異なる結果が出る可能性はあります。

創造力がある(クリエイティブ)

HSPはクリエイティブといわれることがあります。多くの刺激を受け取るというHSPの特性が創造力に関連するとされるからです。しかし「Time、Hair、Stretchと関連する単語は?」のような問題で構成された創造性を測定するテストではHSPとそうでない人のスコアに差は出ませんでした。もちろんこれだけでは創造性は測定できませんが今のところHSPがクリエイティブだという科学的根拠は存在しません。(※問題の答えは「Long」です)

HSPは女性に多い

感受性と何らかの効果を確かめるための研究で女性のほうがHSP傾向が高く出たという結果はあります。また共感に関する実験では女性のほうが共感力に関連する脳内の部位の反応が強いという結果もあります。しかしHSPについて正確に男女の違いを明確にしたエビデンスはありません。

ミラーニューロンが活発だから共感力が高い

HSPの共感力とミラーニューロンは強い関連があると思われがちですがそれを示すエビデンスはありません。ミラーニューロンが存在するであろう脳の下前頭回の活性化の証拠はあります。またミラーニューロンが感情的な共感にどれくらい影響するのかははっきりと分かってはいません。

注意

HSPの研究についてはまだ分からないことも多くあります。そのためここで紹介した結果と反対の結果になる研究が発表される可能性もあります。私も新しい情報を更新していきたいとは思いますが皆さんはあまりネット上のHSPあるあるに惑わされないようにしてください。