HSPが相談できない原因は子供時代にあるのか?

HSPが相談できない原因は子供時代にあるのか?
 

悩みを相談できないというHSPは子供時代の環境が影響しているかもしれません。人は子供時代に親との間で学習した人間関係のスタイルを他の人にも応用します。子供時代に「人に頼ってはいけない」という認識を持ってしまうとそれが大人になった後も残り続けます。またHSPであることが子供時代の逆境的な体験と人生の満足度の関係に影響を与えることもあります。

子供時代に学んだ人間関係の影響

発達心理学では私たちは生まれて最初に出会う他人である親との関わり方によって人間関係を学ぶとされています。そしてそれを他の人たちとの関係にも応用します。
育児放棄やDVといった虐待があったり、家族同士の仲が悪い環境で育つと「他人は冷たい・怖い」という思い込みにつながることがあります。また親から尊重されなかったことで自分には価値がないという錯覚を持つこともあります。
こういった錯覚が他人に頼ったり相談したりすることを無意識に躊躇させている可能性があります。

逆境的小児期体験をすると相談できなくなる

子供時代の家庭環境が何年も影響することは多くの研究で判明しています。テキサス州立大学が子供時代の環境とメンタルヘルスの関係を調べた研究があります。

子供時代の逆境は抑うつや不安に関係する

この研究では404人の大学生にACE(逆境的小児期体験)という質問紙を使って18歳までの生育環境について回答してもらいました。この質問紙は身体的、精神的、性的な虐待やネグレクト、親の離婚、精神疾患・依存症を抱えた家族との同居の体験などに関する10項目の質問で構成されています。そしてこの調査の結果、ACEの10項目中4つ以上の逆境的小児期体験がある人は抑うつや不安を感じやすいことが分かりました。

子供時代に逆境的体験をすると相談できない

そしてもう一つ重要なことが分かりました。実はこの調査ではESSI(社会的支援指標)という質問紙にも回答してもらっています。これは他人に悩みを相談したり、支えてもらう機会がどれくらいあるかを調べるためのものです。さきほどのACEで4つ以上が該当した人はこのESSIが低いこと分かったのです。つまり子供時代の逆境的体験が人に相談する可能性を減らしそれによってメンタルヘルスに悪影響を及ぼすということです。

HSPと子供時代の逆境体験が合わさったときの影響

子供時代にこういった逆境を体験している人は珍しくありません。今回の調査でも5人に1人以上の割合で該当者がいました。またその体験が人生の満足度にどう影響するかにHSPが関係するという研究もあります。

オックスフォード大学が185人の成人のHSP傾向、子供時代の体験、人生の満足度を測定しました。その結果、子供時代のポジティブな体験と人生の満足度の関係にHSPは影響しませんでした。しかしネガティブな体験と人生の満足度の関係にはHSPが関係していました。ネガティブな体験をしている人でHSP傾向の高い人は人生の満足度が低かったのです。

HSPは良い刺激にも悪い刺激にも敏感です。子供時代の逆境体験が悪い刺激に注目するバイアスをつくっているとすれば人間関係においても悪いシグナルに敏感になります。そして子供時代に学習した他人は冷たいという思い込みをさらに強めてしまう可能性があります。

子供時代に身につけたスタイルを点検する

もしあなたがHSPで他人に相談することができないというのであれば子供時代の体験の影響を受けていないか振り返ってみてください。他人に相談することが迷惑なこととか、相談しても分かってもらえないと思っているのなら生育環境で刷り込まれてしまった無意識が影響している可能性があります。

こういった刷り込みは一見すると温かい家庭で起こることもあります。自分にとって重要なことを相談したときに軽く流されてしまった体験が影響することもあるのです。もちろん親に悪気があったわけではありませんが、子供ながらに「他人に相談しても何も解決しないのだ」という思い込みを強めてしまった可能性もあります。

物事の判断力がなかった子供時代に身につけてしまった人間関係のスタイルを大人になった後も使っていないか点検してみましょう。

参考にした論文
・People who need people: the relationship between adverse childhood experiences and mental health among college students.
・Sensory-processing sensitivity moderates the association between childhood experiences and adult life satisfaction.