気分が沈んだり、体がだるかったり、集中力や思考力が低下したりといった症状が重なることもありますがHSPとうつ病は異なるものです。
またHSPの人がうつ病になりやすいというデータもありません。
個人的な見解ですが仮に関連があるとしてもHSPとして生活する中で無意識に身につけた思考パターンが原因になっているのではないかと思います。
うつ病とHSPの違い
うつ病とHSPでは体内で起こっていることが違います。
うつ病
うつ病は心や体のストレスなどによって脳の機能障害が起こっている状態です。
脳内の神経細胞間(シナプス)に放出される伝達物質(セロトニン等)が少なくなっており、さらに元の細胞に再取り込みされてしまうため、うつ状態になるのではないかと考えられています。(モノアミン仮説)
まじめで責任感が強く几帳面な性格の人ほどうつ病になりやすい傾向にあるとも言われます。
HSP
原因としてハッキリとは確定できませんが多くのHSPに共通して見られる特徴があります。
ひとつはミラーニューロンと言われる他者の行動をまるで自分の体験であるかのように感じることの出来る神経細胞が活発である可能性です。
これが共感性の高さを生み出すことにもつながります。(関連は小さいとする研究者もいます)
他人が怒られているときに自分も怒られた気分になるのもミラーニューロンの影響かもしれません。
またHSPの脳内では行動を積極的にするシステムよりも、慎重さを生み出すシステムのほうが活発に働いていると考えられます。
臆病になりすぎて行動できないことがあるのはこのためでしょう。
さらにストレスホルモンであるコルチゾールの値が平常時でも多い傾向にあります。
何でもないときにも不安や緊張を感じるのはこれらの反応により自律神経が影響を受けているからです。
後天的な特徴を先天的なものと思い込まないこと
うつ病になりやすい人の特徴を見るとHSPと共通する部分が少なくありません。
そのため「自分はうつ病になりやすいのではないか」と心配する人もいます。
人の機嫌を気にしすぎたり、落ち込みやすいというのは確かにHSPの特徴です。
しかしこれらはHSPとして生活している中で強化されたものです。
感じ取ることと、それを気にすることは別です。
HSPがうつ病になりやすい性格のきっかけになることはあるかもしれません。
しかし直接的にうつ病の原因になるという可能性は低いと思います。
HSPの特徴について考えるときは生まれつきのものなのか、体験の中でいつの間にか身につけたものなのかということを常に区別するべきです。
どの診断チェックリストにも後天的に身につけた特徴が含まれています。
自分で勝手に「改善することが出来ない」と勘違いしているものがあるはずです。