生きるのが辛いHSPは「情動制御」を上手に使おう

生きるのが辛いHSPは「情動制御」を上手に使おう
 

HSPが気分の落ち込みや不安、抑うつと相関していることは過去の研究からも明らかです。
こういった影響が大きすぎて「生きるのが辛い」と相談にくるHSPの人もいます。

しかし勘違いしないでほしいのですがHSPであることが直接的にネガティブな感情を生み出しているのではないということです。「HSP=生きるのが辛い」というのは間違いです。

HSPとネガティブな感情を媒介するものがあるのです。そのうちの一つが「情動制御」です。

情動制御

情動制御とは自分の中に生じた感情を変化させるプロセスです。その方法は様々なものがあります。

例えば怒りの感情が芽生えたときにそれを顔に出さないことも情動制御の一つです。
こうすることで怒りをコントロールすることができるのです。

他にも体験している状況をポジティブに捉え直したり、全く関係のないことを考えたりする方法があります。
また自分の心に生じた感情をありのままに観察するマインドフルネスなども情動制御といえます。

状況に適した情動制御が行えないと精神的な苦痛を感じやすいことが分かっています。

そして「生きるのが辛い」と言っているHSPの人を見ているとこの情動制御が上手くいっていない人が多いように思います。

正しい情動制御ができないからネガティブな感情になる

実は情動制御が正しく行えないHSPがネガティブな感情を持ちやすいことは研究でも分かっているのです。

オーストラリアのスウィンバーン工科大学がHSPとネガティブな感情、情動制御の関係を調べました。

この調査では18歳から60歳までの女性118名と男性39名に感覚処理感受性、抑うつ・不安、精神的苦痛への耐性、情動制御をそれそれ調べるための質問票に回答してもらいました。

そこからまず分かったことは感覚処理感受性の高い人(HSP)は精神的苦痛を感じやすいということです。これは過去の研究でも分かっていたことです。

そして情動制御がHSPと精神的苦痛を媒介するということも分かりました。
つまりHSPであることが精神的苦痛を生み出す要因ではなく、HSPで情動制御がうまく出来ないことが要因だということです。

正しい情動制御ができないと苦痛を感じたときにいつまでも動揺したままになり、気分を持ち直すために出来ることは何もないという誤った信念を強めてしまいます。
それだけでなくネガティブなことばかりに注意が向いてしまい不安や抑うつ傾向を強めてしまうのです。

情動制御を上手く使う方法

情動制御を上手く使うにはいくつかのコツがあります。

まず心に生じた感情を受け入れることです。
HSPの人は怒りや不安、恥ずかしさといった感情が芽生えると悪いことのように捉えがちですが誰でも芽生える感情ですから気にする必要はありません。
感情をコントロールするというのはネガティブな感情が出ないようにすることではないのです。それが出たときに上手に対処することなのです。

そして一旦その場を離れたり深呼吸して落ち着くことです。
緊張したときは交感神経が優位になっているので視野狭窄が起こりやすく状況判断が上手くできないことがあります。

そして「自分はネガティブな感情をコントロールできる」という信念を持つことです。
そのためには自分なりの対処法を複数準備しておくことです。

ストレスを受けたときの自分なりの対処法を書き出したものをコーピングリストと言いますが、そういったものを作って財布や手帳に入れておくだけでも安心感につながります。
コーピングリストの内容は簡単なもので良いのです。窓の外を見るとか、好きな人のことを考えるとかでもストレスを逃すのに役立ちます。

情動制御はテクニックですから性格に関係なく誰でもできることです。
ぜひ自分に合った方法を作り上げてください。

HSPだから生き辛いのではない

プロテインを飲むことと怪我のしやすさには相関があるといわれていますがなぜだか分かりますか?
含まれる成分が怪我につながっているのではありません。
プロテインを飲む人はスポーツをしている確率が高いので怪我をする機会が多いということです。

HSPもこれと同じことがいえます。HSPだから生き辛いのではありません。
最適な情動制御が行えないから生き辛いと感じているのです。

そもそもHSPの人が情動制御が上手くできないということ自体が思い込みによるものかもしれません。
そうなってしまった原因は感覚処理感受性はネガティブな環境のみに対する敏感さを表すという間違った認識が広まったことだと思います。

情動制御は繰り返し意識していく中で上手く使いこなせるようになります。できることから始めてみましょう。

参考にした論文:Is the relationship between sensory‐processing sensitivity and negative affect mediated by emotional regulation?