予言の自己成就とは:思い通りになる心理学の仕組み

予言の自己成就とは最初に間違った認識があったとしてもそれに基づいて行動することによりその通りの結果になるという社会心理学的現象です。

分かりやすくいえば真実だと思えば結果的に真実になるということです。

「自己成就的予言」と呼ばれることもあります。

予言の自己成就の具体例としては1973年のオイルショク時のトイレットペーパー買占め騒動が挙げられます。
「紙がなくなる」という誤った噂を大勢が信じて買いに走ったことで本当に不足してしまったという出来事です。

コロナウイルスの騒動による一部商品の不足もこれと同じ仕組みで発生しています。
占いが当たったと感じるのもバーナム効果(※1)の他に予言の自己成就の影響が考えられます。

たとえ間違った予測だとしてもそれを信じるだけで行動に影響を与えてしまうのでそれが事実になってしまうのです。

予言の自己成就は思い通りになる仕組みともいえます。

【※1】バーナム効果:誰にでも当てはまる一般的なことでも自分にだけ当てはまることとして伝えられると信じてしまうという心理現象。

予言の自己成就の具体例

この現象を最初に発見したのはアメリカの社会学者ウィリアム・アイザック・トーマスと言われています。そのため「トーマス定理」と呼ばれることもあります。

「予言の自己成就」というを言葉を最初に提唱したのは同じく社会学者のロバート・K・マートンです。
マートンは以下の具体例を挙げて説明しています。

銀行の取り付け騒ぎ

銀行の経営が危険だという噂が流れると皆が預金を引き出します。
それによって本当に現金が足りなくなってしまうと決済が出来なくなってしまいます。

日本では1973年に愛知県の豊川信用金庫で間違った噂に端を発する取り付け騒ぎが発生しています。

受験ノイローゼ

合格できなかったらどうしようという不安を持つと勉強が手につかなくなります。
それによって本当に不合格になってしまいます。

国同士の軍拡競争

敵対する2つの国が戦争は避けられないだろうという考えを持っていると相手国の行動が全て戦争の準備や挑発のように思えてきます。
それによって本当に戦争が始まってしまいます。

白人による黒人排斥

労働組合の白人がストライキを行おうと考えたときに黒人はスト破りをするだろうと予測し組合から追い出します。
すると生活に困る黒人と操業停止で困る雇用主の利害が一致するので本当にスト破りをすることになります。

予言の自己成就とピグマリオン効果(教師期待効果)

他者の影響を受けて予言の自己成就が発生することもあります。

有名なものとしてはピグマリオン効果(教師期待効果)があります。

心理学者のロバート・ローゼンタールは「ハーバード式突発性学習能力予測テスト」というテストを小学生に受けさせました。

そしてその結果から「これから数ヶ月の間に成績が伸びる児童」として数人の名前を担任に伝えました。
実はそれはウソでテストの結果と関係なくランダムに選んだ児童を伝えただけだったのです。

しかし数ヶ月後にその児童たちの成績を確認したら本当に伸びていたのです。

このようなことが起こった原因として教師が成績が伸びると言われた児童に対して無意識に期待を持って接していたことが考えられています。
授業中に意識的に指すようにしたり、答えが分からなくても考える時間を少し長めに取ったりしていた可能性があるということです。

また児童自信も期待に応えようとモチベーションが上がっていたとも考えられます。

そしてこの現象は彫刻の女性に恋したら本当の人間になったというギリシャ神話のピグマリオンにちなんで「ピグマリオン効果」と名づけられました。

ピグマリオン効果は予言の自己成就の一種といえます。

ピグマリオン効果には否定的な意見もあります。
実験に参加した担任教師は伝えられた児童の名前を記憶していなかったと証言しています。
また他の研究者が同様の実験を行ったところ再現できませんでした。

しかし他人からの接し方によって引き出される態度や能力が変化するということは数々の実験で明らかになっています。

上司が部下に対して「使えない」とラベリングしてしまうと本当にその通りになるという事例はよくあります。
仕事を任せませんし真剣に教えようとも思わないからです。

学校や職場は予言の自己成就が起こりやすい場所と言えます。

思い通りの自分になれる

予言の自己成就は仕事の能力や勉強の出来にも関係してきます。

具体例の中に出てきた受験ノイローゼのように自分の能力を疑い心配ばかりしていると本当にその通りの人間になります。

反対に自分は有能であると考えている人はその通りになります。
自分に投資したり新しいことにチャレンジすることでレベルアップしていきますから成功の可能性が高まります。
成功することで「やはり自分は優秀なのだ」と考えることができますから良いサイクルが生まれるのです。

自分は出来ると思っているときと出来ないと思っているときでは発揮できる能力に差が出るということも分かっています。

また自分は運が良いと思っている人と悪いと思っている人では結果が変わるとも言われています。
なぜなら運が良いと思っている人は多くの情報にアンテナを張っているため幸運を見逃さないからです。

実際の実験でも宝クジの当選確率は変わらなくとも、お金を拾ったり仕事の助けとなる人と出会える確率は運が良いと思っている人のほうが高くなることが分かっています。

予言の自己成就は良い方にも悪い方にも向かいます。
自分の思い通りになるのです。

成功したければまずは自分の人生はうまくいくという信念を持つことから始めましょう。

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