いつも好きな人のタイプに合わせて本当の自分を隠している気がする…
自分を偽っているようで罪悪感を感じる…
このような悩みを持つ人もいますが自分自身が負担に感じていないのであれば気にする必要はありません。
男性でも女性でも程度の差はありますが好きな人のタイプに自分を合わせるということを自然に行っているのです。
キャリア志向の女性が好きな人の前では家庭的になることもあるのです。
そもそもキャリア志向の女性が家庭的ではないということもありませんが…
印象を操作するための自己呈示
人間は他人の前でありのままの自分を見せているわけではありません。
相手からの印象をよくするために欠点を隠したり、長所を目立たせたりすることがあります。
これを自己呈示と言います。これは自分を偽るということとは異なります。
偽っているのではなく調整しているのです。
自己呈示は英語でセルフプレゼンテーションと言います。
誰でも自分自身を魅力的に見せるためのプレゼンテーションしているということです。
自分に好意を持ってもらいたいと思う相手の前ほどこの心理は働きやすくなります。
恋愛における印象操作
印象を操作するための自己呈示は恋愛の場面においてよく見られます。
好きな人のタイプに合うように自分を良く見せるという経験が誰でもあるのではないでしょうか?
人間が恋愛においてこのような行動を取ることは心理学の実験でも明らかにされています。
アメリカのプリンストン大学で次のような実験が行われました。
はじめに女子学生たちに自分が家庭的だと思うかキャリア志向だと思うかを聞いておきます。
そして「知らない人同士がお互いの情報をもとに第一印象を形成した後、その正確性を実際に会って確かめる実験」と伝えます。
知らない人のプロフィールとしてある男子学生のものが渡されます。
その男子学生のプロフィールは同じプリンストン大学在籍で高身長のスポーツマンと書かれています。
さらに恋人募集中で好みのタイプは家庭的な女性と書かれています。
このプロフィールを見せられた後に女子学生は自分自身についてのアンケートに答えさせられます。
回答した内容は相手の男子学生が女子学生の印象を形成するために使用すると伝えられます。
このアンケートには自分は家庭的かキャリア志向かということが分かるような質問が入っています。
はっきりと質問しているわけではありませんが判別できるような内容です。
思い出して欲しいのですが実験の最初に「あなたは家庭的かキャリア志向か?」という質問をしています。
そのため再び同じ内容の質問をしても答えは変わらないはずです。
しかし最初にキャリア志向と答えた女性の多くが家庭的と思われるような回答に変わってしまいました。
魅力的な男子学生に自分の印象を良くしようという心理が働いたと考えられます。
この実験は男子学生のプロフィールを「三流大学に通う低身長で彼女がいる学生」という内容に変えたパターンでも行われました。
このケースでは最初にキャリア志向と答えた女子学生は相手のプロフィールを見た後もキャリア志向のままでした。
魅力を感じない男性の前では印象を良くしようという心理は働かないということが分かります。
無理のないプレゼンテーション
誰でも多かれ少なかれ自分を魅力的に見せるためのプレゼンテーションを行っています。
その結果、好きな人と恋人同士になれるケースもあるでしょう。
しかし無理に行った印象操作の結果付き合ったとしても良い関係を継続するのは困難です。
負担を感じるほどの印象操作を行わなければ関係を維持出来ない相手は理想の相手とは言えません。
魅力的な自分を見せることに自分自身がストレスを感じてしまうようならもう少し本当の自分をさらけ出せる相手を探した方が良いでしょう。