セクハラする男性の心理:身体的コンプレックスを刺激され脅威を感じている

セクハラは犯罪であるということが周知され職場でも研修で様々な事例を紹介しています。

それにも関わらず平成30年度に都道府県労働局に寄せられたセクハラの相談件数は7600件を超えています。
表に出ていないだけで泣き寝入りや揉み消されたものも含めたらもっと多いでしょう。

セクハラをする人の心理は様々です。
犯罪だと思っていないとか、自分が好かれていると勘違いしているとか、単に頭が悪いだけ、性欲が抑えられないだけなどなど…

それでもほぼ全員に共通することがあります。
それはコンプレックスです。
これには職務遂行能力が低いというものに限らず身体的なものも含まれます。

身体的コンプレックスを抱えた男性がそれを刺激されると何をするか?

ラトガース大学の研究者がセクハラと男性心理の関連について行った実験があります。

研究者たちは「チームワークの研究です」といって異性愛者の男性参加者を集めました。
(もちろんこれは表向きの理由です)

参加者は離れた場所にいる女性に見せるためのアンケートに回答し自分の写真を提出するよう求められました。

そして男性参加者の半分には「システムが故障したので実験を継続できなくなった」と伝えます。

残りの半分には「女性側から断られてしまったので実験を継続できなくなった」と伝えます。
この時点で男性は女性がこの先の手順で自分とデートをする実験があることに気づいているということを知っています。
つまりこちらのグループの男性は自分とデートしたくないという理由で女性が断ったと思い込まされているということです。

その後に全ての男性が気分や身体的コンプレックスに関するアンケートに回答しました。
「お尻の形や大きさが恥ずかしい」などの項目です。

また「性的暴行やその他の性的な攻撃に興奮する傾向があるか?」といった質問も含まれました。

女性から拒絶されたグループの男性の中で身体的コンプレックスを抱えている人ほど性的暴行への興奮傾向を示しました。

別の実験では拒絶された男性に他の研究で使うための暴力シーンのサンプル写真の選択を依頼しました。
その結果、男同士の暴力の写真よりも男性が女性を暴行しようとしている写真を積極的に選ぶことも分かりました。

「男らしさ」が脅かされることへの恐怖

なぜ女性から拒絶された男性はこのような反応を示したのでしょうか?
それは男性としての権威が失われることに恐怖を覚えたからです。

セクハラをする男性にも同様の心理が働いています。
肉体的な強さというのは男らしさのシンボルと言えます。

加齢や自堕落な生活によってスタイルが崩れるとそういったものは失われていきます。
すると自分で意識しているかどうかに関係なく慢性的に男らしさの脅威にさらされた状態になります。

そのような状態のときにコンプレックスを刺激されるようなことが起こると攻撃的になるのです。

セクハラに限らず女性の言動を批判する男性は自分の能力や地位に自信が持てないことが多いです。
別の調査ではネット上で女性をいじめる男性は社会的地位が低いということも分かっています。
脅かされることで生まれた恐怖が攻撃性へとつながっているのです。

これは職場の上司と部下の関係であっても同じです。
そこには仕事に関するコンプレックスではなく男女としてのコンプレックスが存在するのです。

肉体的な衰えにより男性として相手にされないことを認識すると自尊心が傷つくのです。
「あなたはオスとして魅力がありません」と言われた気分を勝手に味わっているのです。
無意識の被害妄想ともいえます。

すると負けた気分になります。下の立場であるはずの人間に負けたという認識は許せません。
それをセクハラによって解消しようとするのです。

しかし一時的に解消したところで自分の体型は変わりませんから身体的コンプレックスは残り続けます。
そしてまたセクハラを繰り返すことになるのです。

参考文献:Mescher K, Rudman LA (2014). Men in the Mirror: The Role of Men’s Body Shame in Sexual Aggression.

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