子供時代に親から言われた言葉を大人になってからもずっと覚えていて気にしている人がいます。
「あなたはダメな子」とか「パパに似たから可愛くないわね」など内容は様々です。
親はそれほど深く考えずに発した言葉でも子供の心には深い傷を負わせることがあります。言葉は暴力と同じです。
何気ない一言もノーガードでは大ダメージになる
家族や恋人など身近な人からの何気ない一言に深く傷つくことがあるのは心がノーガード状態だからです。
ボクシングでは相手の攻撃を受けないように両腕を上げて体をガードします。
ガードを下げてしまったときにパンチを食らうと大きなダメージを受けることになります。
心もこれと同じでガードをしていないときにマイナスな言葉を投げかけられるとダメージが大きくなります。
あなたが誰かと激しく罵り合っているとします。
このときのあなたは相手が自分に対して悪意のある言葉を投げかけてくるという予想が出来ています。言葉の暴力に対する防御姿勢が出来ている状態です。
なので自分のコンプレックスを刺激するようなことでも言われない限りは傷つくこともないでしょうしいつまでも覚えているようなこともありません。
自分の親に対して常に「言葉の暴力をふるってくるぞ」と警戒している子供はいません。
機能不全の家族であれば子供が気を張っている時間は長いかもしれませんがそれでも緩むときはあります。
例えば上手に絵が描けたので褒めてもらえると思って親に見せたら「下手ね」と言われたらどうでしょうか?
これは握手をしようと思っていたら突然殴られたのと同じようなものです。軽めのパンチでもダウンしてしまうかもしれません。
このような体験をすると「自分は絵が下手なんだ」と潜在意識に刷り込まれてしまうことがあります。そして自分の可能性にフタをしてしまいます。
本当はデザイン関係の仕事につきたかったけれど親の一言がずっと心に引っ掛かっていて諦めてしまうということもあります。
自分に才能があるかどうかを親の何気ない一言で決め付けてしまっている人は少なくありません。
中には親からの言葉が原因となっているということに気が付いていない人もいます。
言葉の暴力にもカウンターは有効だが危険
言葉の暴力によって傷ついたり、それがいつまでも心に残ってしまうという体験は大人になってからもします。
恋人や友達、会社の人間などから思いもよらないタイミングでマイナスの言葉を投げかけられると心に傷を負ってしまうことがあるのです。
心がノーガード状態だと反応も遅れます。
急に怒鳴られて一瞬止まってしまったという経験をしたことのある人もいるでしょう。
急に殴られたときと同じように言葉の暴力も急にやってくるとすぐにカウンターを返すことが出来ないのです。
ボクシングでパンチが当たりやすいのは相手がパンチを打った直後です。
自分が攻撃をしているときは防御できないからです。
自分の手をまっすぐ伸ばしてパンチを打った状態を作ってみてください。
このとき伸ばした手の外側から顔に向かって相手のパンチが飛んできたら防御できないのが分かると思います。
相手が攻撃を出した後の防御できない状態で打つパンチは通常よりも大きなダメージを与えることが出来ます。
これがいわゆるクロスカウンターというものです。
言葉の暴力もこれと同じことが言えます。
怒鳴る人は怒鳴ることによって相手が一瞬怯むということを無意識に予測しています。
その予測に反してこちらが0.1秒の間も置かずに(相手の言葉の終わりと同時にこちらの一言目が相手の耳に届くタイミングを見計らって)怒鳴り返すと相手の頭は真っ白になってしまいます。
タイミングがピッタリと合ってしまうと相手はあなたを怒鳴ることを躊躇するようになります。
これは怒鳴る相手だけではなく口うるさい人に対しても有効です。
面倒な上司に言いがかりをつけられたら相手の言い終わるその一瞬を狙って冷静に反論するということを繰り返しているとどうなると思いますか?
相手はあなたに文句を言おうとすると不快感を覚えるようになります。
しかし言葉の暴力に対するクロスカウンターは下手をすると相手のトラウマになってしまうこともあるのでマネしてはいけません。
防御姿勢を取っていなかっただけという事実を認める
言葉の暴力によって傷つきやすいと思っている人は事前に予測するクセをつけると効果的です。
攻撃がくると分かっていれば防御姿勢をとることができます。
ビクビクしながら過ごすということではありません。
「この人はストレスが溜まると言葉の暴力をふるう人」と認識しておけば良いのです。
とはいえ不意にやってくると傷ついてしまうこともあります。
そういうときは「防御姿勢ではなかったからこんなに気にしているんだ」と冷静に分析すれば良いのです。
子供時代に親や先生から言われた何気ない言葉をいまだに気にしている人はそのときノーガード状態だったからなのです。
親や先生が核心を突いていたからでは決してありません。
気にし過ぎてはいけません。
子供時代に殴り合いのケンカをして出来た傷のようなものです。
まだ弱い子供が防御姿勢もとらずに殴り合えば大怪我することだってあるのです。
言葉の暴力もこれと同じです。ガードが下がっていただけなのです。